「日本の#MeToo ジャーナリストの伊藤詩織さんは、加害者の山口敬之を告発する」STESS NEWS

TEXT by Jessica Cardiny 2019.4.4
今週木曜日にフランスで出版された著書『BlackBox』のなかで、ジャーナリストの伊藤詩織さんは自身の受けたレイプ被害について語った。

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©Philippe Picquier


この本によれば、事件が起こったのは2015年、彼女が26歳のときだった。
「あの日、私は一度殺された。」
2015年4月3日、伊藤詩織さんは当時のTBSのワシントン支局長、山口敬之と東京で会う約束をしていた。山口氏は首相に近い人物である。
日本でレイプ被害を報告することは、女性たちにとって、まさに社会的自殺を意味する行為である。それにもかかわらず、一人の女性が顔を出して話をするリスクを取った。
2015年、26歳の伊藤詩織さんはジャーナリストとして働いていた。ある夜、彼女は大手テレビ局の支局長(当時)で首相に近い人物である山口敬之と仕事の話をするため、レストランで落ち合った。数時間後、ホテルの一室で意識を取り戻すと、レイプをされていた。
行政当局の不誠実で意欲に欠けた対応や、メディアの沈黙に直面した詩織さんは、自らの事件の捜査を単独で進めることになる。今もなお、彼女の訴えは受理されていない。
彼女の本?それは、彼女の物語、声であり、そしてとりわけ、日本の社会が性暴力の被害者たちに注ぐまなざしを変化させるための闘いなのである。
山口氏は性的関係を持ったことを認めているが、彼女は性行為に同意しており、当然意識もはっきりしていたと断言している。彼の説明によると、彼女はその夜のあいだ飲み過ぎており、そのせいで記憶を失ったのだという。
彼は「ニューヨーク・タイムズ」の取材で、彼女を自身の滞在するホテルの部屋に連れて入ったのは、彼女が一人で自宅にたどり着けない恐れがあったからだと主張している。
警察は、2人をホテルまで乗せて行ったタクシーの運転手の証言を証拠として重く見た。この運転手によれば、伊藤詩織さんは駅の前で降ろして欲しいと何度も頼んでいたという。
警察はホテルの防犯カメラの映像も、同様に考慮に入れた。その映像には、よろめいて一人では歩けない状態の彼女の姿が映っていた。警察はさらに、彼女のブラジャーに付着した男のDNAも証拠として重く見た。
しかし、捜査員たちが山口氏を空港で逮捕するはずの当日、ある指示が下り、逮捕状の執行は取りやめになった。日本のメディアは、彼女が告発した男性が安倍晋三首相に近く有名な人物で、首相の伝記作家であることを強調している。
今なお、彼女の訴えは受理されていない。

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