「日本の#MeTooの中心的人物、伊藤詩織さん、民事訴訟に勝訴」Le Monde紙

裁判官は、加害者とされる男性に対し、彼女の請求額のおよそ3分の1にあたる、330万円の支払いを命じた。

TEXT by Le Monde+AFP 2019.12.18

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CHARLY TRIBALLEAU / AFP

12月18日、東京地裁は、ジャーナリスト伊藤詩織さんの損害賠償請求を認める判決を下した。伊藤さんによると、彼女は数年前に日本の民営テレビ局の支局長の男性からレイプの被害にあったといい、彼女はこの件で賠償を請求していた。
「私たちは勝訴しました。相手方の訴えは棄却されました。判決の詳細については私たちは知りませんが、これは一つの重要な節目です」
彼女は、裁判所の出口で待ち構える報道陣の前で、こう表明した。
「私たちはいくつかの証言を提出することができ、それらの証言は民事法廷で聞き入れられました」彼女はそう喜んだ。
裁判官は、加害者とされる男性に対し、彼女の請求額のおよそ3分の1にあたる、330万円(25,000ユーロ)の支払いを命じた。

#MeTooが世界中で起こり始めたころ、伊藤詩織さんは、2015年に、自身の働くアメリカでの仕事のポストをちらつかせていた、民営テレビ局の高い地位にある男性から、ホテルの一室でレイプの被害にあったことを主張し、日本社会に衝撃を与えた。

日本で、ほとんど孤立した奔走

伊藤さんによると、加害者とされる山口敬之が、二人で一緒に食事をした際に、その後で彼女と「楽しむ」ために、おそらく彼女の飲み物にドラッグを混ぜたという。現在30歳の詩織さんは、メディアの前や、「Black Box」と題された著書のなかで被害について語ることで、自身に起こった出来事を公にした。しかし彼女の奔走は、レイプの被害者たちが沈黙を守る日本でほとんど孤立したもので、彼女は少なくともしばらくの間、国外に逃れることを強いられた。
刑事裁判を起こすための彼女の働きかけは拒絶された。それは彼女の主張によると、山口氏と、彼が伝記を書いている安倍首相とのつながりが理由だという。そして、彼女は民事裁判を起こすにとどまらなければならなかった。
刑事事件で不起訴となった山口氏は、レイプの非難に反論し、また、名誉を毀損されたとして、反訴をした。しかし、彼は敗訴した。
彼の説明によると、伊藤さんは完全に酔っ払っており、食事の後どこにも一人で行くことの出来ない状態で、そこで、自身の滞在していたホテルに彼女を連れて帰ったという。そして彼女の求めに応じたのだと、彼は繰り返す。

二人は水曜日と木曜日に開かれる、それぞれ別の会見で自身の考えを述べる予定だ。

#MeTooムーヴメントは、100年以上前に制定され、最近やっと修正されたに過ぎないレイプに関する法律を持つ日本で、大きな広がりを持っていなかった。伊藤詩織さんはこのようにして、レイプの被害にあった女性たちの受け入れに関する病院や警察での対応といった組織や機構のあり方が、どれほど不適応なものであるかを強調したのである。(了)

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