東京で開かれたレイプ事件の裁判 #MeToo の顔的存在の日本人女性が賠償を得る Le Parisien

東京地裁は、ジャーナリスト伊藤詩織さんの損害賠償請求を認める判決を下した。伊藤さんは、2015年に民営テレビ局の責任者の男性からレイプの被害にあったとして、この男性に対し、損害賠償を求めていた。

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12月18日、判決を受け、東京地裁の前で「勝訴」と書かれた幟を掲げる伊藤詩織さん。

TEXT by Ph.L. + AFP
彼女は、数年前に民営テレビ局の責任者の男性からレイプの被害にあったとして、提訴をした。水曜日、東京地裁は、ジャーナリスト伊藤詩織さんの損害賠償請求を認める判決を下した。裁判官は加害者の男性に対し、伊藤さんの請求額のおよそ三分の一にあたる、330万円(27,500ユーロ)の支払いを命じた。その一部は、弁護士費用を賄うのに充てられる。
事件は、アメリカで#MeToo ムーブメントが起き始めていた2015年(原文ママ)にさかのぼる。伊藤さんは、当時TBSのワシントン支局長で、彼女にアメリカでの仕事のポストをちらつかせていた山口敬之から、レイプの被害にあったとして、この男性を告発した。山口氏と一緒にレストランで食事をした際、彼から飲み物に薬を混ぜられ、ホテルの一室で弄ばれたと彼女は主張した。
捜査は行われたが、不起訴となった。そこでやむなく、伊藤詩織さんは民事訴訟を起こした。
「私たちは勝訴しました。相手方の反訴は棄却されました。これは一つの重要な節目です」水曜日、裁判所の出口で支援者たちに囲まれた中、彼女はそう主張した。
加害者とされる男性はレイプを否認
「私たちはいくつかの証言を提出することができ、それらの証言は民事法廷で聞き入れられました」
水曜日、彼女はそう喜び、「勝訴」と書かれた幟をかざした。
「正直なところ、まだ実感が湧きません」
今回の裁判所の決定が、現在の社会的、法的環境が「時代遅れ」と評価される日本で、レイプの被害にあった女性たちの置かれた状況を変化させるのに貢献しうることを願って、彼女はそう付け加えた。

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山口敬之(左)、記者会見の席で ©AFP

一方、山口敬之は、再びすべての非難に対して反駁し、すぐに控訴すると発表した。
「国内外のメディアが専ら伊藤詩織さんの主張のみを報道したことが、裁判に影響を及ぼした可能性がある」
と彼もまた表明した。
判決の中で、伊藤詩織さんが「意識をまったく失って無防備な状態で、性的関係をもつことを強制された」ことは明確にされている。それにもかかわらず、加害者とされる男性は、刑事上訴追されていない。

一時的な亡命を強いられる

現在30歳で、日本の人たちから「詩織さん」と呼ばれる彼女は、メディアの前や、『Black Box』と題された著書の中で語ることで、自身に起こった出来事を公にした。しかし、彼女の奔走は、レイプの被害者たちが沈黙する日本でほとんど孤立したもので、彼女は少なくとも一時的に、国外に逃れることを強いられた。というのも、彼女は一つのタブーを打ち破ったからだ。
伊藤さんによると、刑事裁判を起こすための彼女の奔走には、加害者とされる男性(の逮捕のため)の不審尋問の直前でストップがかかったといい、それは山口氏が(政治の)上層部とのつながりを持っているからで、特に、彼が安倍晋三首相の伝記作家であることが理由なのだという。
山口敬之は、すべての非難に対し反論し,名誉を棄損されたとして、伊藤さんを反訴した。しかし、彼は敗訴した。彼の説明によると、伊藤さんは夕食の後、完全に酔っぱらっており、一人で移動できる状態ではなかったため、ホテルに連れて帰り、そこで彼女の求めに応じたのだという。彼は性的関係を持ったことについては認めているが、彼女が性行為に同意していたと断言している。両者は、水曜日と木曜日、それぞれ別々に開かれる複数の記者会見で、自身の考えを述べる予定だ。(了)

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