「レイプの被害者であり、裁判所で侮辱される: シャネル・ミラーさんが証言する」Brut. フランス語動画翻訳

2021.10.21

彼女は報道で自分がレイプされたことを知った。加害者と裁判所で対面し、その場で侮辱された彼女は、アメリカでの象徴となった。シャネル・ミラーさんが証言する。

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(法廷で読み上げた声明文を読んで)あなたは私のことを知らない。でもあなたは私の中にいた。私たちが今ここにいるのはそのためだ。

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(字幕)これが、シャネル・ミラーさんが自分をレイプした男性…ブロック・ターナーに対して法廷で語りかけた中身である。そして、その場で加害者に対し有罪判決が下ったが、量刑は懲役6ヶ月でしかなかった。というのも、投獄の結果彼に及ぶ「重大な影響」を裁判官が心配したからだ。

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シャネル・ミラーさん: あなたは私の下着をはぎ取り、キャンディの包みを捨てるように投げ捨てた。そして、私の体内に指を入れた。これが、あなたの犯した過ちだ。

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(字幕)彼女はわれわれに、その夜起こった出来事を語ってくれた。

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シャネル・ミラーさん: スタンフォード大のパーティーに行きました。妹を連れて。妹は学生でした。私はすでに卒業していたので、おもしろいだろうと思いました。みんなで庭に出たのを覚えています。そこでものすごく不味いビールを飲みました。それが最後の記憶です。

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(字幕)彼女は翌朝、病院で目を覚ます。

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シャネル・ミラーさん: 照明のまぶしい部屋で目覚めました。両手には乾いた血が付いていました。刑事が近づいてきて、「われわれには、あなたが性的暴行を受けたと信じる理由がある」と言いました。私は、「人違いではないですか?私は化粧室に行かなくては」と答えました。そして私は化粧室に行き、気づきました。髪の毛に松葉がいくつも絡まっていて、それから自分が下着を身につけていないことに。

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(字幕)彼女は自身の被害の詳細を、報道で知ることになる。

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シャネル・ミラーさん:私はこのように思っていました。何かがうまくいっていないのに、誰も質問をしない。なぜなら誰も本当には知りたがっていないからという風に。そして、何か問題があれば、誰かが私にそのことを話してくれるだろうと思っていました。しかし10日後、朝の職場で自分の事件に関する記事を読み、そこでネクタイを締めてほほ笑む加害者の顔を目にしたのです。記事が説明するところによると、加害者はゴミ収集車の後ろで、半裸で意識を失った女性と一緒に寝そべっているところを発見されたそうです。二人のスエーデン人学生が自転車で通りかかり、事件を目撃し自転車を止めました。加害者は逃げようとしましたが、二人は加害者を追い、タックルをし、加害者を取り押さえました。そして警察が到着し、私は病院に運ばれました。

しばらくのあいだ私はただ、「酔っ払って意識を失った女性」としてだけ世間に知られていました。一方加害者は、「アメリカ代表」のアスリートとして描写されていました。マスコミは加害者の高校の元水泳コーチの男性に質問をしました。元コーチの男性は、加害者がいかに才能に恵まれていたか説明し、彼のことを褒めちぎっていました。

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(字幕)1年半のあいだ、事件は裁判で争われることとなった。公判中、彼女はエミリー・ドーの仮名で呼ばれた。

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シャネル・ミラーさん:裁判のあいだ、彼らからは普段からパーティーによく参加していたのか、どんな男性と付き合ってきたのか、今まで何回酔って記憶をなくしたことがあったかと訊かれました。彼らは私がこう言われることを望んでいたのだと思いました。「過去にもお酒を飲みすぎたことが何度もあったんですね」と。そして「いけませんね!」と私が指弾されることを。実際、彼らは私の過去についていくつも質問できたでしょう。しかし、私の返答のなかで、加害者側がその夜起こった出来事を正当化できるものは一つもありませんでした。また、私にはわかっています。もし私がその夜外出せず、読書するために自宅に留まっていたら、加害者は他の女性を襲っていただろうことを。

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(字幕)裁判のあいだ、被害について何度も繰り返し思い出さされることは、彼女の心に傷を与えた…

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シャネル・ミラーさん:眠ることができなくなりました。そして自分の身体を耐えがたく感じました。とめどなく涙が流れました。金属製のスプーンを冷蔵庫で冷やしておき、そして、冷やしたスプーンを泣き腫れたまぶたの上に置き、翌朝仕事に行けるように腫れを引かせなければなりませんでした。

裁判所では彼は当然、家族もチームもいる人として見られ、あたかも彼の裕福で刺激的な生活が裁判によって奪われているかのようでした。裁判の目的は、彼を日常生活の中にできるだけ早くもどすことでした。一方彼らにとって、私には生活などなく、単にその夜現れた肉体でしかない存在、単なるモノでしかなかったのです。彼らは病院で撮られた私の裸の写真を見ていました。そして無関心な様子で、写真について話していました。私が目の前にいるにもかかわらず。私は自分の尊厳を守るために闘わなければなりませんでした。

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(字幕)弁護士は彼女に、裁判所での判決の際に読むための声明文を書くよう勧めた。

以下は、加害者に向けて彼女が実際に読み上げた声明文である。

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シャネル・ミラーさん:あなたの受けた損害は具体的なもの。あなたはタイトルを、卒業証書を、そして大学での地位を失った。私の受けた損害は内的なもの、目に見えないもの。私はそれらの損害を、自分の中に抱えている。あなたは私から奪った。価値を、プライヴァシーを、エネルギーを、時間を、安全を、内面を、自信を、そして声を。

声明文を読み終わると、裁判官がこう告げました。「すばらしい、みなさんお越しいただきありがとうございます。判決は6ヶ月の刑になるでしょう」

この瞬間のために私たちは1年半ものあいだ闘ってきたのに…、これで一件落着とされてしまったのです。判決を聞いてすぐ、自分が強く侮辱されたと感じました。

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(字幕)懲役6年が求刑されていたが、ブロック・ターナーは懲役6ヶ月、保護観察3年の判決を受けた。しかし、彼は結局3ヶ月の刑に服しただけで釈放され、輿論の怒りが再燃した。

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シャネル・ミラーさん:言葉が解き放たれ、オープンに話されるようになりました。しかしそれは私たちを部分的にしか守ってくれません。システムに関していうと、私たちのことは聞き入れてもらえませんし、ケアーもしてもらえません。

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(字幕)2019年、彼女は自伝的な著書『私には名前がある』の中で素性を明かした。

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シャネル・ミラーさん: 私は当初、自分がこの事件の当事者であることを誰かに気づかれてしまったら、私のキャリアは終わるだろうと考えていました。私は子供たちのための本を書きたかったのですが、この事件のせいで至る所で自分のことを拒否されるだろうと思っていました。でもそれから、一般の人たちから手紙や、彼らの子どもや娘たちの写真が届くようになりました。「この子があなたのように育ちますように」と言って。そして私は、自分がただこの事件の被害者として見られているのではなく、勇気、復元する力、率直に話すことといったいくつもの特性を具現化する存在として見られていることに気づいたのです。そのようにして私は気づいたのです。事件によって決して私のアイデンティティが奪われるわけではないだろうと。それはすべてのサバイバーたちにとっても同じことです。私たちは、他人からの暴力というたった一つの出来事だけにとどまるには、あまりにも多くのもの、物語、特性を持ちすぎているのです。(了)

 

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