#MeToo: 伊藤詩織さんを、そしてすべての被害者を支援するための運動が始まる JapanFM

TEXT by Yuuki.K. 2019.4.12

 

2019年4月10日、伊藤詩織さんの民事裁判を支援するための集会が、本人出席のもと、東京都内で開かれた。またその際、すべての性暴力被害者を支援するための運動も始動した。

 

会見が開かれたのは、東京の文京区役所の入る、文京シビックセンターである。会見は当初、100名の予約参加者を予定していたが、最終的に、会場にはわれわれJapanFMを含む複数の記者や大勢の女性たち、そしていくらかの男性たちといった、合わせて150名の参加者が、会のメンバーたちの話を聴くために集まった。また参加者たちは、何人もの女性たちの証言を聞くこともできた。何名かは匿名で、そしてその他は実名で、彼女たちはハラスメントと性暴力に関する状況が変化するために証言したのだった。証言したのはとくに、性暴力被害に遭った女性たちを支援するための団体のリーダーたちであった。そして、「Women In Media Network Japan」代表の林美子さんも同様に証言をした。このネットワークには100名以上の女性記者が加わっているが、彼女たちは匿名に留まっている。伊藤詩織さんや林さんのような女性たちは素性を明かすことをためらわなかったが、それは、状況が変わることを期待して、他の女性たちを代弁して話すためであった。

 

なぜなら、決死の覚悟で加害者を告発し、正義を求める日本人女性たちにとって、仕事やあらゆる社会生活を失う危険性が、あまりに大きな問題としてのしかかるからだ。「WIMN Japan」代表の林美子さんは、この会合に出席した記者たちに対して、日本人のメンタリティが変化するよう、ハラスメント事件や性暴力事件について話すことを、これ以上ためらわないよう促した。

伊藤詩織さんの場合、日本の司法は事件を2017年9月に不起訴相当とすることで、刑事訴訟を拒んだ。そのため、加害者を刑事事件で有罪とさせることはできなくなったが、彼女には民事で裁判を起す可能性が残されている。だが、伊藤さんが1,100万円の賠償金を請求しているのに対し、山口敬之は反訴をし、伊藤さんの請求額の10倍に当る、1億3千万円の賠償金を請求したのである!伊藤詩織さんを金銭的に、そして精神的に支援するための運動、「Fight Together With Shiori」が始動したのは、そのためである。この運動は、たとえば#MeTooや#WithYou、そして#WeTooのようなハッシュタグを使ったことのある人たちの結束を促すものである。これは、伊藤詩織さんが民事裁判の資金を得ることの助けとなるための、そして裁判が開かれ、いくつもの口頭弁論が行われる際に伊藤さんを支えるための直接支援の運動なのである。

また同日、すべての性暴力被害者たちに向けられた運動、「Open the Black Box 」が始動した。これは、伊藤詩織さんの著書の題名から採られたもので、カメラもなく、目撃者もいない密室で起った性暴力の証拠を得ることの難しさを指す用語だ。そしてまた、この用語は、被害者たちが性犯罪事件の捜査にアクセスすることの難しさや、またそれだけでなく、裁判にアクセスすることの難しさを意味するものでもある。この「ブラック・ボックス」的状況に直面するすべての女性たちを支えるために、この運動もまた、始められたのであった。

 

 

 

原註(2019.4.12):正確を期すために記しておくと、伊藤詩織さんを支援するこの運動は当初、「Fight Together With Shiori」と呼ばれていた。しかし、4月10日のこの集会の際に、運動の名前は「Open the Black Box 」に改められることになった。これは、伊藤詩織さんにだけに支援が向けられるのではなく、性暴力被害に遭ったすべての女性たちが支援の対象に含まれるようにするためだ。彼女の刑事事件での訴えは退けられた。それゆえ、日本人のメンタリティを変化させるために闘いを続けること、また、他の被害者たちが話すことのできるようにすること、そして、彼女たちが「ブラック・ボックスを開く」ことの手助けをすることが重要なのである。(了)

 

tokyoatparis.com