ツボミカフェ 東京の売春街を縦横に走るピンクのバスカフェ Le petit journal.com

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TEXT by Julien Loock 2018.10.30

10月半ば、東京の繁華街に近接する場所に、ひと目で見分けられる鮮烈なカラーリングのバスが現れた。
ピンク色の車体に花柄のペインティングが施されたこのバスは、東京の「売春街」をさまよう未成年の少女たちの避難所の役割を果たし、少女たちを守ること、とくに新宿や渋谷といった繁華街を支配する性的搾取から彼女たちを守ることを目的としたものだ。
この「ツボミカフェ」と名付けられたバスでは、両親から顧みられない少女たちに食事や飲み物が無料で提供され、彼女たちが会話のできる場所も提供される。彼女たちは虐待にあっていたり、経済的に不安定な状況にあったりする。
このバスが初めて登場したのは(2018年)10月7日のこと、新宿の有名な「売春」街、歌舞伎町のど真ん中だった。そのバスカフェで、一般社団法人Colaboのメンバーたちは、困窮状態にある少女たちを受け入れ、彼女たちの声に注意深く耳を傾けた。
「わたしたちは単に援助をするというよりも、むしろ、このような少女たちと関係性を築き上げたいと思っています」とColabo 代表の仁藤夢乃さんは、共同通信の取材に対して語った。現在28歳の彼女もまた、問題のある家庭で思春期を過ごし、東京の繁華街をさまよい歩いた経験をもつ。
「このバスカフェが、少女たちが休息し、くつろぐことができ、居心地のよさを感じられる場所であって欲しいと思っています」
仁藤さんが夜間に開催されるこのバスカフェの着想を得たのは、韓国のソウルに滞在したときのことだった。彼女はそこで、困難を抱える少女たちがバスカフェで受け入れられ、食事をしたり落ち着いて会話のできることを知る。
そうして彼女は、このバスカフェのコンセプトを東京に持ち込むことを決意する。このプロジェクトは、中央政府と東京都から、若年被害女性等支援モデル事業として選定された。Colabo のバスカフェは渋谷と新宿で週に一度、交互に開催されている。
新宿区男女共同参画課のキタザワセイコさんは共同通信の取材に対し、貧困や虐待が原因で家が安全とは思えず、そのせいで新宿に流れてくる少女たちを目にしてきたと打ち明ける。キタザワさんは、少女たちと同年代の人たちからの支援も重要だと強調する。
「もしわれわれが区の職員として支援に現れたとしたらどうでしょう、少女たちのうちのだれもわれわれの支援を受け入れてくれないに決まっています。少女たちと同年代の人たちが彼女たちに近づき、支援をもたらそうとしなければならないのです」
仁藤さんはキタザワさんの話に頷き、次のように説明する。
「多くの少女たちが公的支援を受けることに拒否感をもっており、その上、大人に不信感を抱いています。そんな彼女たちに近づこうとし、話そうとすることができるのは、わたしたちのような、彼女たちに近い世代の女性たちなのです」
非行青年の社会復帰を支援する地方団体の責任者サカモトユキコさんは、Colabo のバスカフェプロジェクトに当初から加わっている。
「確信を持って言えることですが、このような少女たちは好きこのんで夜の街をうろついているのではありません。彼女たちにはなにか家に帰ることのできない理由があるのです。彼女たちのうちには、父親や異母(父)兄弟から性暴力の被害にあった子もいますし、母親の連れ合いの男性から家を追い出されている子もいるのです」(了)

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