「伊藤詩織さん、日本の#MeTooムーヴメントの中心的人物」 ActuaLitté.com 

 

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©Philippe Picquier

若い日本人ジャーナリストで、レイプ被害当事者である彼女は、性犯罪を報告する被害者の割合がわづか4.3%でしかない日本で正義を得ることの難しさを、著書の中で描写している。メディアでの発言を通しての、そして法的な長い闘いの末、彼女は最終的に、安倍晋三元首相に近い人物である加害者が処罰されるという結果を得た。ただし…刑事罰ではなく、民事での賠償金支払いというかたちで。
TEXT by Émilie Guyonnet 2022.3.21
レイプの被害に遭い、その後、行政当局からの不誠実で熱意のない対応とメディアの沈黙に直面した伊藤詩織さんは、脅しにも屈せず、世間の人たちに耳を傾けさせるために著書を執筆した。著書の執筆当時、刑事での彼女の訴えは退けられた(訳註:正確には事件は2016年7月22日付で不起訴処分となり、その後、2017年9月22日、検察審査会において「不起訴相当」の議決が出された)。そして結局、加害者が処罰されたのは民事裁判においてであった。ただし、賠償金支払いというかたちで。
著書のなかで伊藤詩織さんは、加害者である男性と知り合った経緯を語っている。この男性はTBSの元記者で、同局の元ワシントン支局長であり、また彼は安倍晋三元首相に近い人物で、安倍の伝記作家でもある。彼女はそれだけでなく、自身が通り抜けてきた困難と、正義を得るための奔走を著書のなかで語っている。
読者は彼女の証言を通して、レイプの被害者たちが日本で支援を得ることが非常に困難であることに気づかされる。医師たちは彼女の言葉にほとんど耳を傾けず、結局、彼女を最も大きく助けたのは、性犯罪を専門とする二人の女性弁護士であった。
また本書の読者は、一般的な思い込みとは反対に、性暴力の被害者たちは、知り合いから被害に遭っていることに気づくことになる。
さらに、著者の伊藤詩織さんは、政府の統計によると、日本で知らない人から性暴力の被害に遭った人の割合は、11.1%でしかないことを強調している。
著書のなかで、日本の#MeTooの中心的人物である伊藤詩織さんは、単に自身の経験を語るだけにとどまらず、被害者支援に関して世界で最も先進的な国であるスウェーデンの取り組みを例に挙げ、日本での被害者に対する受け入れ体制を改善するための提言をしている。
正確に書かれ、資料に裏付けられ、そしてたゆまぬ決意に支えられた本書は、その主題の厳しさにも関わらず、非常に興味深く、読者を熱中させる著作であることを示している。
『Black Box』フランス語版(ポケット版) 伊藤詩織著 Jean-Christophe Helary, Aline Koza 共訳 Philippe Picquier 社 2021年1月7日 282頁 8,50€

 Ito Shiori, figure de proue du mouvement #metoo au Japon (actualitte.com)